たけやぶの クリスマス (幼児向け)

この物語は幼児むけにも作り数人のお子様に挿絵を描いて頂いて
楽しんで頂きました

  たけやぶの クリスマス
   もりのこみち  まりこ さく 
    

ながくつづいたあめが
やっとあがりました

そとをみると
あかいみのなるきのしたに
いっぴきのいぬが
すわっていました

「なっちやん きてたの?」

なっちやんは 
いちねんまえから
ちかくのたんぼにすみついている
のらいぬです

なっちやんは 
ながいことまってました 
というように
まえあしをぐーっとのばして
せのびをしました

「はいはい 
いまごはんをあげるからね」
あたためたみるくをかけてあげると
なっちやんは 
うれしいかおをして
むちゅうでたべました

「はい こどもたちのおみやげ」
ぎゅっとむすんだ 
おべんとうのふくろをわたすと 
なっちやんは
しっぽをふって
こばしりにかえっていきました
たけやぶで 
にひきのこいぬが
おなかをすかして 
まっているのです

のらいぬが 
まいにち ふくろをくわえて
こいぬにはこぶはなしは
むらじゅうにひろがりました

「なっちやんだって
すきで のらいぬに
なったわけじゃないのよ
もとは 
むせきにんな
かいぬしがわるいので 
いぬのせいじゃないの
いぬやねこをすてたり
いじめたりすると 
つみになるのよ
しってる?」
「ふ~ん そうなの?」
「みんな 
どうしていぬやねこをかうの?」
「う~ん 
どうしてかうんだろ・・
かわいいから? 
ばんけんになるから?」
「うん そうね 
いぬやねこの
きもちをかんがえるひとは  
いいかいぬしだけど
そんなかいぬしばかりじゃないわね
いぬやねこは 
とってもかわいくて
こころがいやされるし
ばんけんをして 
いえやかぞくを
まもってくれてるでしょ」
「そうか! ほんとだね」
「だから かぞくのいちいんとして
かってあげなくちゃね」

みじかいふゆのいちにちが
くれようとしていました
じんじゃのふもとのたけやぶでは
にひきのこいぬ 
はつ と ちろ が 
そらをみあげていました

「おにいちゃん
おほしさまがでていないね」
「うん」
はつが ちろのとなりで
うなずきながら 
たけやぶのまえのひろばを 
みつめていました

いつもなら
とっくにかえって
ゆうしょくのおみやげをひろげて
「さあ おたべ」といってくれる
かあさんが
まだかえってこないのです
はつとちろは 
ふあんになりました

「おにいちゃん さむいよ」
ぶるっとみぶるいする ちろに
「かあさん もうかえってくるさ」と 
はつがつぶやきました
「おにいちゃん 
きょうは
さんたさんがくるひでしょ」
「うん くりすますいぶ だったね」
「わたしたちのところにも
きてくれるかしら」
「きてくれるさ」
「ねがいごとも
かなえてくれるの?」
「ああそうだよ」
「じゃあ わたしもおねがいしようっと」
ちろは りょうてをあわせて
「わたしたちにも 
やさしいかぞくと 
あたたかいおうちができますように」
しんけんにいのりはじめました

「ちろ さむいからもうねよう」
「おにいちゃん かあさんが
まだかえってないよ
おなかがすいたよ~」
「うん でもさむいから 
ねどこでまっていようよ
ちろ おいで」
ふたりのねどこは
たけやぶのおくの
おおきなくすのきの 
ねもとにありました
ねどこのなかは 
おちばがいっぱい
しきつめられています
くすのきのねもとに 
よりそうようによこたわって 
おかあさんのかえりをまちました

「おにいちゃん 
あしたのあさめがさめたら
さんたさんがきてるかしら」
「うん きてるさ」
ちろ は またぶるっとみぶるいして
くびをすくめました
いつかこいぬたちは
ねむりはじめました

たけやぶのよるは しんしんとふけ
きおんはどんどんさがっていきます
そらには
しみるようなほしがひとつ 
またひとつ
そのかずをふやして
にひきのこいぬを
みおろしています 

「はつ はつ おきなさい」
かあさんのよぶこえに
はつは ねむいめをこすりながら
あたまをあげました

「かあさん 
おそかったじゃないか
ちろは おなかすかして
なきながらねちゃったよ」
はつは おきあがって
もういちど 
めをこすってみましたが
おかあさんのすがたがありません
なんだ ゆめかー
がっかりしてよこになると
「はつ はつ おきて」
また かあさんのこえがしました
こんどはしっかりめをあけて
からだをおこすと
たけやぶのしたに 
ぼんやりと 
かあさんのすがたが
ひかっていました
「なんだ かあさん 
やっぱりかえっていたのか」
「おい ちろ 
かあさんがかえったぞ」
いもうとをおこそうとする はつを
かあさんがとめました
「はつ 
ちろを おこさないで!
はつだけおりてきなさい」
「うん わかったよ 
かあさん」
はつは たけやぶをおりて
したのひろばにでていきました

「かあさん?」
はつは しゅういをみわたしました
「はつ はつ こっちよ」
かあさんが 
まえのどうろで
はつをよんでいました
ふだんは 
まえのどうろに
でちゃだめだって
あんなにしかられていたのに・・・ 

はつは ふしぎそうに 
どうろにでてみました
するとかあさんは 
どうろのむこうに
すーっときえてしまったのです
「かあさん かあさん 
どこいくの?」
はつは へっぴりごしで
かあさんのあとをおいました

くらやみのなかで
はつは ふあんで
なきそうになりました
「かあさん かあさん 
どこなの?」
はつは くんくん
はなでかあさんのにおいを
さがしました

「あっ かあさん 
そんなところにかくれてたのか」 
どてのくさむらのなかに
かあさんのにおいをみつけた はつは
どてをかけおりました
「かあさんのいじわる 
ぼく こわくて
なきそうだったんだよ
かあさん おみやげはどこ?」

でも よこたわったまま
かあさんは へんじをしません
おかしいな 
はつは はなさきで
かあさんのかおに
ふれてみました
つめたい!うごかない!
「かあさん かあさん
おきてよ! 
かあさん かあさん!」

はつのこえがとどいたのか
くるしそうに 
いきをはきながら
かあさんは 
うっすらとめをあけました
「はつ きてくれたのね
いい?よくきいて
かあさんは 
くるまにはねられて
もうあなたたちのめんどうを
みてあげられないの
はつは おにいちゃんだから
いもうとのめんどうをみて
なかよくたすけあって
くらしなさい
はつ あのおかのむこうに
いつもごはんをはこんでくれるひとの
おうちがあるから 
たずねていきなさい
きっとあなたたちの
やさしいかぞくになってくれるひとを
さがしてくださるよ
はつ かあさんのことはいいから
すぐいってごらん」
ちからをふりしぼるようにいうと
かあさんは
めをとじました
「かあさん かあさん しなないで!
ぼくはまだ 
ちろのめんどうなんて
みれないよ 
いやだ いやだ」
はつは 
なみだでぐしょぐしょになりながら 
しがみついて
なきじゃくりました
いくらおおきなこえでよんでも
からだをゆすっても
かあさんのめはあきません

やがて 
すっくとたちあがった
はつは 
おしえられたほうに
あるきはじめました

がいとうに
てらしだされたいえを
いっけん いっけん
さがしました
かあさんのおしえてくれたいえは
どこなんだろう
とぼとぼあるきつづけて
つかれきった はつは
でんちゅうにもたれかかるように
うずくまってしまいました
はぁはぁ 
いきがあらくなり
からだがやけるように
あついのです 
こんこんせきがでます 
つめたいあめにうたれて 
かぜをひいたのです

「かあさん ちろ・・・」
くらやみのなかで はつは
きをうしなってしまいました 

「うっ ここはどこ?」
「きがついたのね 
よかった」
はつが めをあけると
てんじょうのけいこうとうが
まぶしく はつを
てらしていました
「さあ あたたかいみるくをのみなさい
げんきがでるわよ」
いつもごはんをはこんでくれる
まゆこおばさんの
やさしいえがおが 
はつをみおろしていました。
はつのめから 
おおつぶのなみだが
あふれだしました
「もうだいじょうぶよ」
まゆこおばさんは 
はつをだきしめると
やさしくあたまをなでました

はっときがついた はつは
「かあさんが かあさんが!」
と さけびながら 
まゆこおばさんの
てをひっぱって
そとにはしりだしました
あのどてまで 
ぐいぐいひっぱっていくと
かあさんのたおれているほうを
ゆびさしました
くさむらをのぞきこんだ 
まゆこおばさんは
「なっちゃんね! 
まぁ かわいそうに」
いそいで 
けいたいでんわをとりだすと
たかしおじさんをよびました
「なっちゃん しっかりして!
もうだいじょうぶよ」
まゆこおばさんは
すばやく
けがのじょうたいをしらべると 
りょううでで
だきあげました

たかしおじさんが 
くるまでかけつけ
すぐびょういんで
みてもらうことになりました

「ぼくは 
たけやぶにかえるよ
ちろが ひとりで
ないてるとおもうから」
「じゃあ あとでみにいってあげるから
ちろのことおねがいね」
はつを たけやぶのまえでおろすと
くるまは 
ぶーんとおとをたてて
くらやみにきえていきました

たけやぶのねどこにかえると
ちろはすやすやと
ねむっていました
あんしんして はつも ねむりました

ちっ ちっ 
ことりがさえずりはじめ
めをさました はつが
おきあがりました
ひろばのほうをみて 
おもわずごくりと 
のどをならしました
たけやぶのまえのひろばには
おおきなケーキがおかれ
まわりには 
ごちそうがいっぱいならんでいました
くすのきのえだは 
ぴかぴか 
でんしょくでかざりつけられ
おおきなプレゼントが
いくつもぶらさがっています
「おい ちろ おきろ
さんたがきたぞ」
「ほんと?おにいちゃん」
はつ は ちろのてをとると
ひろばにかけおりていきました
めをまんまるくして 
おどろいているふたりのまえに
くすのきのうしろから
まゆこおばさんと たかしおじさんが 
かおをだしました
「メリークリスマス!
はつ ちろ
おかあさんは 
まだびょういんだけど
もうすぐかえってこられるわよ
せんせいが 
ちゃんとなおしてくださるわ 
さあ みんなで
ごちそうをいただきましょう 
おなかいっぱいたべてね」
「やった~」
はつとちろ まゆこたちが
てをつなぎ 
わになりました
どこからか 
ジングルベルのきょくが  
ながれてきました
みんなでいっしょにうたい 
そのうたごえは 
ひろばから たけやぶのなかへと 
ひびいていきました

        あとがき
このものがたりは
へいせい一九ねん八がつ二十日にうまれた 
こいぬたちのものがたりです
さいしょのこいぬは 
おおけがをしていたところを
たすけられ 
あたたかいかぞくと 
とてもしあわせにくらしています
このものがたりの 
はつ と ちろにも  
しあわせになってほしいと
こころから
ねがっています 

        もりのこみち   まりこ
                        
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by marinnta | 2010-12-24 14:43